最近は、中学生でも「年金が心配」と口にするそうだ。将来のためにと貯金をするのも良いことなのだろうが、貯金が目的になってしまう人生は味気ない。

「経済的な貯蓄に加えて、つながりの『貯蓄』もしておきましょう。いくつになっても努力でできるものが、つながり。チャンスはいっぱいあります」(宮木さん)

 過去のキャリアもプライドも捨て、まっさらな状態で人とのつながりをゼロからつくれる人は、人生の幸福度を上げることができると宮木さんは話す。

「たとえば、過去に大失敗をした人でも、失敗した人同士のコミュニティーでつながることで、そこから突破口が見つかることもあります。失敗体験も『ネタ化』してしまえば、一人でしぼんでいるよりずっといい」

 自分の人生、どこまでネタにできるか、ということ。

 つながりをつくるのにはお金もさほどかからない。

 学びや趣味などいろいろな場で刺激を受け、自分の可能性を広げるのはよさそうだ。

「今はいくつになっても、学び続けなければいけない時代ですから」

 ワープロやパソコンが登場した時代、「これを作成して」と部下に頼らず、自力で資料作成していた人は、きっと今、スマホも使いこなしていることだろう。

 新しいモノに常にチャレンジできれば、情報弱者にならず、人ともつながりやすい環境にいられる。趣味仲間も増やしやすい。

「加えて趣味はパラレルで持っておくことも大切です。たとえば、ゴルフと麻雀、というように。運動系と文化系の複数があるとリスクヘッジになります。動けなくなっても、つながりの場が残るからです」

 しぼむどころか80を超えても、パワー全開で生きる人がいる。

『50歳から輝く人、30歳で老ける人』の著者で、「プロティア・ジャパン」取締役会長の戸澤明子さん(84)。耳鼻咽喉科の臨床医だったが、2001年1月に白衣を脱いだ。当時66歳。南アフリカの形成外科医によって開発された光老化対策化粧品「エンビロン」に感銘を受け、起業を決意。

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