VRを楽しむシニアたち(※写真は本文とは直接関係ありません) (c)朝日新聞社
VRを楽しむシニアたち(※写真は本文とは直接関係ありません) (c)朝日新聞社

 1950年の日本人の平均寿命は男性58歳、女性61.5歳で、「サザエさん」の父、磯野波平の設定年齢は54歳、母、フネは52歳だった。だが、人生100年時代の今は50歳は人生の折り返し地点で、ここから後半が始まる。50歳から伸びる人、しぼむ人の差はどこから生まれるのか。

 第一生命経済研究所は、1995年から22年間、生活者の意識調査を行い、「ライフデザイン白書」としてまとめている。

 最新版「『人生100年時代』のライフデザイン─団塊ジュニア世代から読み解く日本の未来─」(「ライフデザイン白書2018」)の著者の一人、同研究所の宮木由貴子さんはこう言う。

「人生100年時代、いつまで生きるんだろう、ってみんな不安になっています」

 これまでは、定年退職して10年ぐらいで亡くなるというのがスタンダード。それが、20年も30年もロングランが続くとなれば、健康面も経済面も不安になって当たり前。しかも50代前後は、子どもにもお金がかかる。これからの人生のためにと、趣味や自分自身に投資をしたいところだが、そんな余裕もない、と考える人は多い。

「ライフデザイン白書2018」によると、「趣味や楽しみ、好きでやることをもっている」と答えた年代の割合は男女とも団塊ジュニア世代(現44~47歳)が最も低かった。

「これからの人生に目的をもっている」と答えた割合も団塊ジュニア世代の女性が最下位。

 今回の調査では、団塊ジュニア世代は現実に追われ、楽しみが少なく、今後の人生をじっくり考える余裕がないということが浮き彫りになった。

 親の介護問題も始まりつつ、自分の健康も気になり始める年齢にさしかかった団塊ジュニア世代。彼らの生活志向や生き方に注目をしたいところだ。自身も団塊ジュニア世代の、宮木さんはこう考えている。

「世の中どうなっちゃうんだろうという『フォアキャスティング』で生きれば不安は強くなる。私はこういう人生をこういう社会で送るんだ、そのために今この準備をして○歳になったらこれをやるんだ、と『バックキャスティング』で考えるほうがポジティブに生きることができるのではないでしょうか。趣味の○○を極めたい、とか、そういうのがあるだけでも、人生が違ってくると思います」

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