有名なのが米国の映画俳優組合(SAG-AFTRA)だろう。テレビ局側や映画会社などを相手、俳優たちの労働環境の改善や最低賃金の上昇を交渉してきている。時にはスト権も行使する。

 小栗が労働組合に関心を持つ背景に、所属事務所の影響もあるのではと指摘する声もある。

「小栗さんが所属する事務所の山本又一郎社長は、ハリウッドでもプロデューサーとしてならしています。ハリウッドで働くなら、当然ユニオンについて詳しくなります。小栗さんは山本社長の考え方も影響受けているのかもしれません」(芸能関係者)

 小栗の動きとは別に、芸能界にはびこる問題に対し、明らかに風向きが変わり始めている。2018年2月の公正取引委員会が示した見解だ。芸能界やスポーツ界での芸能人やスポーツ選手の移籍制限が、独占禁止法に当たると示した。例えば、これまでは大手事務所に所属する俳優が別の事務所に移籍したり、独立しようとすると、大きな圧力がかけられてきた。こういった事態を公正取引委員会は、重くみており、”奴隷契約”の報道なども相次いだため、一部の芸能事務所側も契約を見直すなど動き出している。

 また、日俳連も近年、より積極的に俳優たちの環境改善に取り組む。俳優が撮影中に事故にあい、被った怪我に対する補償問題で、間に入って解決に導いたり、俳優を守るために労災保険の認知活動に取り組み始めている。

「日俳合は個人事業主の集う協同組合で、スト権はないですが、団体交渉権と団体協約権はあります。我々はまずできることから、取り組みます」(高瀬理事)

 小栗の念願は2019年、叶うのか…。(本誌・大塚淳史)

※週刊朝日オンライン限定記事