そんな美容室業界だが、「25年くらい前から日本のレベルは世界の最高峰」と日本美容協会の吉田氏は話す。アジアの人は毛量が多く、デザインを表現しにくいとされるが、毛量調節や彫刻のように髪の毛を削っていくことができるのが日本人で、日本はカットやブローの技術で非常に高いという。

 美容室業界の現状について、吉田氏は「カットですら2万円から1000円まで多岐にわたり、業界全体で統一性が見られない」と指摘。過当競争のなか、高級化と低価格路線の2極化の傾向が強まり、淘汰が進むとみている。こうしたなかで、カットやパーマなどの基本業務に髪の毛のエステティックなどを加えた高級化路線をとる店は全体のごく一部とし、日本美容協会ではトリートメントに特化した改革を進めているが、時間がかかっているという。

 美容師の平均年収は300万円に届かず、長時間の立ちっぱなし労働で、生産性を上げることが難しいとされる。最近は美容専門学校の入学定員割れなど美容師の人手不足も深刻になっており、美容室では正規職だけでなく、主婦層などのパート勤務も増えている。

 美容師は国家資格の免許を取ると、その後、更新や技術チェックを受けることがなく、個々人の自己研さんに委ねられている。業界で情報を共有したり、取り仕切るものがないのが課題と、日本美容協会の吉田氏は話している。(本誌・浅井秀樹)

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