デビューから20年。24歳のときにドラマで主演して以来、休むことなく第一線を走り続ける。

「でも、自分ではまだトップギアだとは思っていなくて、それは40代に入ってからでもいいかな、と(笑)。今は、メディアが目まぐるしく変化していて、従来のドラマのスタイルとは違った発信の仕方がたくさんある。そこには可能性と同時に難しさも感じています。映像のマーケットが、この先どうなっていくのかわからないからこそ、短いスパンで今を生きていくしかない。ただ、基本的には、俳優というのは夢を与える仕事だと思っているので、将来のイメージは、その年々の男っぽさや生っぽさを、役を通して出していける俳優を目指したいですが」

 若い頃よりも、40代以降のほうが、佇まいにその人の生き様が表れるはず、と玉木さんは言う。

「演じるのは人間なのだから、普段から一人の人間としての生活はちゃんと送っていたい。“芸能人だから”と思われるのは嫌なのです。すごく嬉しい一瞬はあっても、浮かれたことはなかったと思います。いつもすぐ冷静になってしまうタイプです。正直、プライベートで喜怒哀楽のアップダウンは経験したくないんです。芝居に影響するので、日常生活では常にニュートラルでいたい。そういう点で公私の狭間がないのは、もう職業病ですね(苦笑)」

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日  2019年1月4‐11日合併号