ただ、そうしたゼリーも、だいたい4日から1週間以内で使い切るのを推奨すると書いてあるので、長期的に使用していると少々お金がかかります。

 そこで、うちはパンケーキにかける300円くらいの市販のチョコレートシロップを購入し、そこに少し水を混ぜて薄め、粉薬を入れて飲ませました。すると息子はおいしくて「もっと飲みたい」と、自分から薬を飲みたがるまでになりました。長期間もってくれるので、経済的にお得ですし、本当に大活躍してくれました。

■安くて飲みやすく改良されている「ジェネリック医薬品」

 また、薬局では、子どもは「ジェネリック医薬品」にするのがおススメです。薬を開発した製薬会社がもつ20年間の特許が切れた後、他の製薬会社がつくったものをジェネリックと呼びます。20年間、独占して売ることができる製薬会社の薬は、開発費などもかかっているため費用が高くなります。

 しかしジェネリックは開発にお金がかからないぶん、安く提供できるし、味が改良されておいしくなっているケースが多々あるのです。薬局では「ジェネリックにしてもよいですか?」という聞き方をしてくるので、なんとなくジェネリックが品質的に落ちるように聞こえてしまいますが、薬効成分自体の品質、量、は同じです。変わっているのは、味や形状、色や添加物などの部分だけ。

 日本では3割負担の保険があるため、値段の差が少なく海外と比べればまだ普及しているとは言い難いですし、子どもの薬に関しては無料になってしまうのでなおさら先発品を頼んでしまいがちです。

 しかしジェネリックは飲みやすく改良されていることがあります。実は子ども用の薬で苦くて有名なものがあるのですが、ジェネリックでは薬効成分以外のところで、清涼感を出す成分、甘みを出す成分などを付け足してくれています。そこに仕上げとしてチョコレートシロップに溶かすと、息子はすんなり飲んでくれます。

 薬を「飲まなきゃいけないもの」と教えるよりも、薬は「おいしくて飲みたいもの」にしてしまうと、風邪をひいてもかなりラクになります。

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杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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