東京の最低賃金は985円です。自分や夫が疲弊しているときに、労力と精神力を振り絞って家事をするよりも、その分の給料を機械に払って掃除をやってもらうと思えば、なかなかよい買い物だと思うのですが。

 さらに、家事を必要最低限簡単に、簡単にしていきます。たとえば、タオルや下着はたたまず、決まったケースにポイポイと入れるだけ。人に見られる場所でもないし、使う分にはたたんでいてもいなくても同じですから。洋服は、裏返ったままでも洗濯してしまいます。裏返したままのほうが、生地が傷まないそうですし、大人なら着るときに自分で表に直すようにすれば、「服はちゃんと脱いで!」とケンカすることもありません。

 洋服もたたむのが大変なので、ハンガーにつるすだけです。たたむほうが、かえってしわがついてしまうデメリットがあります。あと、意外に大変なのが靴下です。模様がついていたり少しワンポイントがあったりすると、一つ失くしたときに捨てなくてはいけなくなります。それに、洗濯のときに二つ一組にするのが地味に面倒。そこで、真っ黒の同じ靴下をたくさん買っておけば、一つ失くしても買い替える必要もなく、どの靴下でも二つ一組にできるのでおススメです。

■泣いたらアプリに頼り、離乳食は配達の料理に助けられた

 育児そのものに関しては、育児用品のレンタルも便利でした。なかなか泣きやまないとき、手が離せないときに、電動式バウンサーの存在は心強かったです。入眠率90%と書いてありましたが、相性もあるのでしょう、うちは五分五分といったところでした。

 そこでスマホにある、赤ちゃんを泣きやませる音(掃除機や、ビニールをガサガサする音)が入っているアプリを使い、それをゆりかごの横に置いておくと入眠率が高くなりました。さらに、子どもをおくるみで「おひなまき」(子宮の中と同じ体勢にするもの)にして包むと、よく寝てくれました。

 料理では、生協の配達に頼りました。献立は栄養士が考えてくれるのでバランスがとれるし、添加物もないので、潰すだけで赤ちゃんの離乳食になってくれるものもたくさんありました。離乳食は、手間をかければおいしいとか、たくさん食べてくれるというわけでもありません。時間をかけたものをひっくり返されて床に投げ捨てられることもちょくちょくあるので、手間がかからず栄養のバランスもとれる配達の料理にはかなり助けられました。

 もちろん節約できるところは節約します。オムツのにおいを閉じ込めるゴミ箱のポットは、高いのはポット自体ではなく、専用の袋がついたカセットでした。ここで消耗するのは袋だけなので、空になったカセットに自分でゴミ袋をつけてセットすると、新しくカセットを購入しなくても、ほぼ同じように使えました。

 育児をしていくうえで、「いかにやることをラクにして時間を巧みに使うか」に焦点をあてることが、ストレスを減らす重要なポイントでしょう。

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杉山奈津子

杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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