「駅伝」の良さがわからない一之輔が正月に林家ペーからたすきを受け取り (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
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「駅伝」の良さがわからない一之輔が正月に林家ペーからたすきを受け取り

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

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春風亭一之輔週刊朝日#春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。JFN系FM全国ネット「サンデーフリッカーズ」毎週日曜朝6時~生放送。メインパーソナリティーで出演中です

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。JFN系FM全国ネット「サンデーフリッカーズ」毎週日曜朝6時~生放送。メインパーソナリティーで出演中です

イラスト/もりいくすお

イラスト/もりいくすお

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「駅伝」。

【この記事のイラストはこちら】

*  *  *
 子供のころの私には『駅伝』も『マラソン』も退屈なスポーツだった。でも日曜の昼間、なぜか両親は嬉しそうに『○○駅伝』や『△△マラソン』の中継に手に汗を握っている。特に母親。テレビに向かって全力で声援を送る。どうかすると手拍子までする。「ホラッ! 頑張ってっ!!(手拍子)」。言われなくても頑張っている。「抜かれちゃうよっ!! 速く走れっ!!」。言われなくても彼はとても速く走っている。「わーっ! 抜いたっ!! やったーっ!!」。どっちの味方……?

 駅伝の実況中継は、昼寝にはいいBGM。こたつでうつらうつらしていると、母親の嬌声で目が覚める。私は居間から立ち去り、和室のテレビで独り『新婚さんいらっしゃい!』を観る。

「YES・NOマクラ」ってなんのイエス・ノーなのか? 子供の私にはわからない。駅伝の良さもわからない。

 東京で独り暮らしを始め、実家に帰らない正月。布団に入ったまま、二日酔いでテレビをつけると箱根駅伝。同世代の若者が白い息をはきながら走っている。私も白くて酒臭い息をはきながら、台所で水を飲む。一応、母校を応援してみようかと思ったりもするが、下位過ぎて中継にはまるで映らない。

「ダメだなぁ~」。ダメなのはお前だ。「……ったく、あんな格好で寒くないのかよ……」。走ってるからそんなに寒くないんだよ(寒いかもしれない)。「だいたい正月からなにやってんだよ……」。お前が言うな。二度寝して起きたら、テレビで『かくし芸大会』をやっていた。「マチャアキ、正月から働くなぁ……」。バカ、録画だよ。

 落語家になると元日、師匠の家で『ニューイヤー駅伝』を観ることになった。おせちが並ぶ居間で、一門でなんとなくテレビを眺める。「群馬は○○落語会っていう地域寄席があったなぁ……」「△△師匠、この辺りの生まれですよね?」「たしか□□兄さんも上州だろ?」「それにしても正月からよく走るな、こいつら」「噺家で良かったですね」「ホントホント!」。自分たちも正月から寄席に出てバカッ話してることには自覚がない。


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