帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
※写真はイメージ (c)朝日新聞社
※写真はイメージ (c)朝日新聞社

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「ペットの効用」。

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【ポイント】
(1)ペットとの交流で生まれるオキシトシン効果
(2)オキシトシンはセロトニンの分泌を増加させる
(3)オキシトシンの面からみてもハグは有効

 土曜日と日曜日は講演などで出かけることが多いのですが、たまに何もない日があります。そんな日は病院の自室でもっぱら原稿書き。夕方になると、現在は退職して悠々自適の初代総師長のYさんが車で迎えに来てくれます。独り身の私をおもんぱかって、夕食に招待してくれるのです。

 Yさんの家に着くと迎えてくれるのは、愛のリャンちゃんです。小さな椅子の上だったり、ソファの片隅だったり、場所はそのときによって違いますが、丸くなってこちらを見ています。「おお! リャンちゃん」と声をかけると、「ニャオ」の一声だけで、微動だにしません。

 酒席が始まると、私が座っているソファの片隅に移ってきて、やっぱり丸くなっています。それを見ているだけでほのぼのとした気持ちになるから、不思議ですね。なんとなく胸の中が温かくなってきます。まさに癒やしの効果です。

 この癒やしを肴に杯を傾けていると、いつの間にかリャンちゃんはYさんのかたわらに。Yさんが抱き上げて首のあたりをマッサージすると、気持ちよさそうに目を細めて、喉をゴロゴロ鳴らします。それを見るYさんも心が安らいでいるのがわかります。

 これは、オキシトシン効果というものなのです。

 オキシトシンとは哺乳類が共通に持つ神経伝達物質で、視床下部の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンです。このホルモンは人や動物に幸せな気分をもたらします。お互いの信頼感を高める効果もあると言われ、「幸せホルモン」「愛情ホルモン」とも呼ばれています。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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