グループ名のインパクトそのままに、シンプルなリフやフレーズを繰り返すファンク・スタイルによる「きず」などを収録した『在日ファンク』(10年)でデビュー。ダイレクトなファンク・サウンドに加え、ユーモアも交えたシニカルで風刺の利いた歌詞も注目を集め、2作目の『爆弾こわい』(11年)の表題曲が話題となった。

 ミニ・アルバム『連絡』を経て、3作目『笑うな』(14年)でメジャー・デビュー。「根にもってます」をはじめ、3・11以後の原発問題など社会的なテーマに取り組んだ曲を収録し、気概のあるところを見せた。16年には、4作目の『レインボー』を出し、ポジティヴな姿勢をアピールした。

 本作『再会』は、SAKEROCKが所属していたカクバリズム・レーベルから発表した。これまでは浜野の作詞、作曲を主体としてきたが、本作では仰木との共作が多く、グループの面々もアレンジなどで貢献している。

 幕開けの「サチタイム」では、“カッコよさ”を否定して“ちょいダサ”を持ち味としてきた彼らが、鮮やかに変身している。歯切れのいいリズム・セクションやシャープなホーン・サウンド、エフェクトを利かせたユニークなギター・ソロなど、お洒落で洗練されたスマートな音楽展開だ。

 シャウト交じりの浜野の歌もユーモラスな味を見せながら、押さえ所はしっかり決めて快調だ。歌詞はネット検索をモチーフにした。気になる女の子のこと、世の中の出来事など。“サーチ”と“サチ(幸)”という語呂合わせは浜野ならでは。

 続く「足元」もリズミカルで、ライトなファンク・テイストの曲だが、パンチが利いている。浜野の歌いぶりはエネルギッシュで、汗をまき散らすライヴでの姿が目に浮かぶ。ホーン3人のソロも絶妙だ。
「葛藤&ファンク」では2ビートを強調。ソリッドな演奏に乗せて様々な“葛藤”を率直に表現している。

 仰木が作詞、作曲した「亜種」は、JBマナーにならったファンク・ナンバー。“俺ら亜種”という歌詞にあるように、彼ら自身を物語る。主流、本流とは異なる“亜流”。それでも“本流”に負けない本格的なファンク・スタイルを見せつける。

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バンドとしての成熟を物語る力作