2013年度から毎年開かれている同志社校友会の大懇親会
2013年度から毎年開かれている同志社校友会の大懇親会

 少子化に加え、私立大学の入学定員の厳格化、国立大学法人への補助金減額など、大学運営は逆風にさらされている。そんな中、活況を見せる同窓会組織がある。卒業生たちの“鉄の結束”で巨大化し、様々な支援策を打ち出している。

「ようやく新しい動きが出てきました」

 こう話すのは同志社校友会の長谷川正治副会長だ。

 2025年に創立150周年を迎える同志社大学。同窓生は現在約33万人。

 京都に本部、全国に支部があるが、これまで両者の連携が十分ではなかった。

「創設者新島襄の精神である『自主自立』を貫き、独自運営の支部が多かったんです。でも、それだけでは母校のためになりません。母校への支援を柱に掲げ、校友会組織の改革が始まったんです」

 11年に校友会長に就任した、空調機器大手ダイキン工業の井上礼之会長が組織をまとめた。

 まず組織運営がしやすくなるように会則を変更した。あわせて会費も最終年次に「入会金1万円、終身会費3万円」を大学側が代理徴収できるようにした。

 その上で支部との連携強化に着手した。各支部の状況を正しく把握し、資金支援を始め、ホームページづくりを促した。卒業生らが連絡を取りやすくするためだ。

「約2~3年ですべての支部の活動が見えるようになりました。先日、全国の大規模私立大学の校友会業務を話し合う会合がありましたが、ウチは支部・学校との連携がいいレベルに来ていると思いました」(長谷川副会長)

 ただし、本部が「指示」することはしない。あくまで「本部と支部と学校はトライアングルの関係」(同)を貫く。

 例えば、東京支部に当たる「東京校友会」は、会員獲得に独特の方法をとっている。首都圏にはかなりの数の出身者がいるとみられ、掘り起こしに懸命なのだ。

 井上会長と同じ11年に東京校友会長となった児玉正之氏が言う。

「横のつながりを増やすのが一番簡単。年次会を多く作ってほしいと言い続けています」

『春の集い』という年一度の大イベントを利用する。世代ごとに特定の年度卒業生に運営を任せ、準備を通じて親睦を深めてもらう。年次会が独自イベントを催し、そこに新しいOB・OGが来れば新会員獲得につながる。

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