僕は犬も好きですが、猫も好きです。猫は自分本位なところがいい。犬はいつだって「ご主人様と一緒にいたい」という感じだけれど、猫は何だか、個人の尊厳みたいなものを持っている。まあ要は、好きなように生きてるということなんですが、人間が作った境界を軽々と越えていく遊牧民的な感じがいい。そういう意味で、猫的生き方には魅力を感じますね。
質問を突き詰めると、「どういう柄がいい柄か」という議論が一つあるかもしれません。キジトラの柄とブランド猫の“きれいな柄”との本質的な違いとは、いったい何か。僕はキジトラの柄って、一番猫らしくてよい柄だなと思いますよ。
あなたが親友の猫を見てうらやましいと思っても、飼い主失格ではないですが、うらやましいという感情は、持ち始めたらキリがないですよね。僕ももちろん、スイスイ泳げる人とか(僕は泳ぎが苦手なので……)、モテる人とかに対してうらやましいと思ったことはありますよ。
うらやましい気持ちの正体は、「ちょっとした違いを意識する」ということだと思うけれど、うらやましいという気持ちに執着しないことが大事だと思う。他の人と自分を比べてもいいことって何もないですよ。
あなたのキジトラは、素晴らしい相棒だと思います。普通で大いに結構、キジトラと幸せな日々を送ってください。
※週刊朝日 2018年12月28日号