前川喜平さん。本連載では読者からの前川さんへの質問や相談を受け付けています。テーマは自由で年齢、性別などは問いません。気軽にご相談ください。
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※写真はイメージ
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 文部科学省で事務次官を務めた前川喜平氏が、読者からの質問に答える連載「“針路”相談室」。今回は愛がいるものの、親友のブランド猫をうらやんでしまう女性からの相談です。

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Q:キジトラのネコを飼っています。生後3カ月くらいのときに、動物愛護協会から譲渡してもらいました。

 それから10年間、誰よりも長く時間を共にしてきました。帰宅すると必ず玄関で待っています。体調の悪いときは添い寝してくれ、仕事がうまくいかずむしゃくしゃしているときは塩対応で適当にあしらい、私を冷静にさせてくれます。

 親ばかですが目がキレイで、愛嬌があってルックスはいいと思います。ところが最近、親友がブランド猫を飼い始めました。飼い猫への愛情は変わりませんが、心にざらっとしたものを感じたのです。きれいな柄のネコを飼っている親友がうらやましい……。キジトラって普通だな、と感じた私は飼い主失格でしょうか。(東京都・41歳・女性)

A:ふうむ、要約すれば「隣の芝は青い」という話ですね。キジトラですか。そりゃ普通でしょう(笑)。うちの近くにも、キジトラの野良猫はいっぱいいますよ。

 でも、普通でいいじゃないですか。しかもあなた、ご質問の中で「普通」だと言いながら、かなり褒めてらっしゃる。ここまで自分の猫をべた褒めする人も、そういないと思いますよ。「私の猫は、何者にも代えがたい」という思いがあふれ出ています。だから、よその猫と比べるのはよしましょうよ。この猫にはあなたしかいないんだからさ。

 何なら、3日間限定で、親友の猫と交換してみてはどうでしょう。3日間親友の猫と過ごせば、絶対、あなたの猫の良さを実感することになると思います。ブランドと無印の違いは、値段が高いか安いか(タダか)の違いであって、あなたにとっての価値とは無関係なのです。

 僕の家でも昔、猫を飼っていたことがあるんです。僕が中学生の頃です。妹が拾ってきた三毛猫「ミー子」。妹は拾ってきたのはいいけれど、あまり世話をせず、結局僕が一番かわいがってた。夜勉強していると、僕の机の上にひょっこり上がってきたりして……。

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前川喜平

前川喜平

1955年、奈良県生まれ。東京大学法学部卒業後、79年、文部省(現・文部科学省)入省。文部大臣秘書官、初等中等教育局財務課長、官房長、初等中等教育局長、文部科学審議官を経て2016年、文部科学事務次官。17年、同省の天下り問題の責任をとって退官。現在は、自主夜間中学のスタッフとして活動する傍ら、執筆活動などを行う。

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