レッサーパンダの風太くん (C)朝日新聞社
レッサーパンダの風太くん (C)朝日新聞社

 2005年に一斉を風靡したレッサーパンダの風太くん。

【写真】風太くんではないけれど、しっかり立ちます

 そんな風太くんも現在、人間の70歳程度に相当する満15歳を迎えた。子どもや孫など6頭の家族に囲まれ、今でも二本足で立ち上がるポーズは健在だという。

 ところが、風太くんのいる千葉市動物公園の来場者数が減少傾向にあり、ついに、市は、初の一般公募に踏み切った。

千葉市動物公園の園長である石田戢(おさむ)氏(72)はこう言う。

「この動物園は出来てから33年になりますが、私たちの園の場合、風太の人気が出たので、施設を改造しなくてもお客さんが来ると思ってしまっていたのではないかと思う。お金の問題もありますが、新しい施設をつくる発想がなかったことが、来場者減につながってしまった。私自身は、年齢もあって、バイタリティが付いてこないと感じ、園長を退任すると決断しました」

 千葉市の職員も来場者数にこだわる。

「来場数はピークだった1991年度の109万人に比べ、半数ほどに落ちてきてしまっている。目標数すらなかなかそこも達成できていない状況。風太くん人気も落ち着いてしまっていて、なんとか盛り返したいと思っています」

 こうした各方面の危機感から、市は、公募に踏み切った。ではいったいその採用基準は?

「動物に関する知識や動物園の運営経験などは必ずしも必要ではない。集客など、民間でご活躍されてきた方にぜひきていただきたいと考えています」(市職員)

 応募条件を見てみると、民間企業などでの経験が10年以上、組織マネジメントに携わったことが3年以上ある人などが掲げられ、動物園での勤務経験も必要なく、年齢制限もない。

 特に重視するのが、ホスピタリティの向上のための「おもてなし力」、来園者や収入の増加につなげるための企画立案、プロモーションの展開だというが…。

 動物園の園長公募の成功例として有名なのが、大阪市立天王寺動物園で、現在の園長である牧慎一郎氏は、元エリート官僚からの転身だ。赴任直後から、次々と大胆な改革をしかけ、入園者数をV字回復させた。牧氏は、今回の公募についてこう分析する。

次のページ
市が期待していることは…