オリジナル・メンバーのデイヴィッド・ゲッツが解説を手がけ、アルバムの制作や収録曲などにまつわるエピソードを紹介。ジャニスの歌について「何を歌うにしても(曲に)深く入り込み、自分の内面を引き出していくのが彼女の基本だった」と記している。

 ジャニスと同じ時代を生きたシンガー・ソングライターのグレイス・スリックも解説文を寄せている。「ビッグ・ブラザーの素朴で粗削りなところがずっと気に入っていました。嘆くというよりは怒りをぶちまける感じで、ジャニスは苦悩する感情のどこにピークを持ってくるべきかを知っていました。彼女が心の中で傷ついて絶叫する時、ビッグ・ブラザーは最高のバック・バンドに徹していました」

 かつてジャニスに親しみ、彼女の音楽を愛したファンには必携のアルバムだ。(音楽評論家・小倉エージ)

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小倉エージ

小倉エージ

小倉エージ(おぐら・えーじ)/1946年、神戸市生まれ。音楽評論家。洋邦問わずポピュラーミュージックに詳しい。69年URCレコードに勤務。音楽雑誌「ニュー・ミュージック・マガジン(現・ミュージックマガジン)」の創刊にも携わった。文化庁の芸術祭、芸術選奨の審査員を担当

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