【文豪の湯宿】別荘同然に泊まり…石坂洋次郎が愛した伊豆の宿 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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【文豪の湯宿】別荘同然に泊まり…石坂洋次郎が愛した伊豆の宿

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鈴木裕也週刊朝日#旅行

【今井荘】皇族や政財界の要人、石坂洋次郎をはじめ昭和の文人も多く宿泊。写真は、たびたび囲碁・将棋のタイトル戦にも使用される貴賓室

【今井荘】
皇族や政財界の要人、石坂洋次郎をはじめ昭和の文人も多く宿泊。写真は、たびたび囲碁・将棋のタイトル戦にも使用される貴賓室

今井浜海岸を見下ろせる温泉は、日の出の絶景が自慢/【今井荘】静岡県河津町見高127

今井浜海岸を見下ろせる温泉は、日の出の絶景が自慢/【今井荘】静岡県河津町見高127

 文豪たちの作品に登場する温泉宿を訪ねる連載「文豪の湯宿」。今回は「石坂洋次郎」の「今井荘」(静岡県・今井浜温泉)だ。

【写真】文豪が愛した、今井浜海岸を見下ろせる温泉

*  *  *
 青森出身にもかかわらず寒がりだったという石坂洋次郎は、冬になると毎年、伊豆に避寒して執筆をした。昭和15年までは伊豆谷津温泉、昭和16年以降は伊豆今井浜温泉の今井荘を定宿にした。

<谷津へ二年ぐらい通ったろうか。三年目からは、谷津の少し手前の今井浜に行くようになった。谷津の旅館で、室の窓から山ばかり眺めているのに飽いて、今井の浜の白砂青松の眺めに憧れたのかも知れない>(「奥伊豆参り」)

 滞在中はいつも、午前中を原稿の執筆の時間にあて、午後は「文士は健康でなければいい作品は書けない」と言って、今井浜の海岸で数時間運動をしたという。

 出身地の青森県近代文学館には「ジャンプする石坂洋次郎先生」という題の写真が所蔵されている。これは昭和16年に今井浜で走り幅跳びをする、40代前半の若々しい作家の姿を写したものだ。

 60代になって、ノイローゼや胆嚢炎に悩まされるようになってからは、静養先としてたびたび訪れ、ビリヤードや来客との懇談などで寛(くつろ)いだ時間を過ごした、別荘同然の宿である。(文/本誌・鈴木裕也)

■今井荘(いまいそう)
静岡県河津町見高127

週刊朝日  2018年12月21日号


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