帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
※写真はイメージ (c)朝日新聞社
※写真はイメージ (c)朝日新聞社

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「人づきあいの効果」。

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【ポイント】
(1)人とのコミュニケーションが大事
(2)生命のエネルギーを説明する場の理論
(3)エネルギーの高い場に身を置く

 これまでに述べたように認知症とがんの予防は共通点が多くありますが、認知症予防でこそ強調されることがあります。そのひとつが、人とのコミュニケーションの大事さです。つまり人づきあいということです。

 人とうまくつきあって、円滑に会話するためには、高度な認知機能が求められます。周りの人とコミュニケーションを取るということは、知らず知らずのうちに脳の機能を活性化しているのです。また、温かい人づきあいにより、相手に対する思いやりの心が芽生えます。

 すると前頭前野の神経伝達物質であるセロトニンの分泌が増えます。また相手との会話によって何らかの意欲がかき立てられれば、これまた前頭前野の神経伝達物質ドーパミンの分泌が増えます。いずれにしろ、脳の活性化に貢献するところが大きいのです。

 さらに私が人とのつきあいの重要性を感じるのは、生命の場ということに思いを巡らすからです。

 以前にも少し触れたのですが(10月12日号)、体の中の生命のエネルギーの在りようを説明するのは、場の理論が必要だというのが私の考えです。

 目に見えない電磁波を説明するのは、空間に広がる電場と磁場の存在が前提になります。それと同様に生命の場というものがあると思うのです。

 その生命の場は、電場や磁場が宇宙空間にまで広がっていくように、体の中だけにはとどまらないのです。

 例えば、私が埼玉県川越市の病院で診療をしているとき、私の生命のエネルギーは私の中だけでなく病院全体に広がっているのです。そして病院には私以外に多くのスタッフ、患者さんがいます。その人たちのエネルギーも病院全体に広がっています。そうした多くの人たちの生命のエネルギーが重なり合って、病院の中の生命の場が形成されます。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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