1週間分の睡眠不足を週末に一気に取り返そうとしないこと(写真:getty images)
1週間分の睡眠不足を週末に一気に取り返そうとしないこと(写真:getty images)
明治薬科大学リベラルアーツ准教授・駒田陽子氏(写真/本人提供)
明治薬科大学リベラルアーツ准教授・駒田陽子氏(写真/本人提供)

 国内にいながら、海外旅行のときの時差ぼけと同様の症状に見舞われる社会的ジェットラグ(社会的時差ぼけ)。単なる睡眠習慣の乱れにとどまらず、仕事のパフォーマンスを低下させ、肥満や生活習慣病、そして抑うつ症状を招くおそれもある。正月に寝てばかりいるなど、このような社会的ジェットラグに陥りやすい年末年始。その防ぎ方や解消法を、時間生物学が専門の明治薬科大学リベラルアーツ准教授・駒田陽子氏に教えてもらった。

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 社会的ジェットラグは、体内時計によるからだの時間と、私たちの生活の基準になっている社会的な時間のズレが原因であり、そのズレを引き起こすのが休日の朝寝坊です。

 その状態になると具体的には、朝なのにからだは眠ったままのため「休み明けの朝、起きるのがつらい」、夜なのにからだは起きた状態のままで「なかなか寝つけない」。その結果、睡眠の質も量も十分ではなくなり「寝ても疲れがとれない」といった症状を訴えるようになります。

 平日と休日で朝、光を浴びる時間帯が異なることで体内時計が乱れてしまうのが問題であり、その予防には「休日もできるだけ平日と同じ時間に起きる」こと、時差をつくらないことです。

 平日も休日も、朝なるべく同じ時間に起き、カーテンを開けて日の光を目から取り入れましょう。日差しが無理でも、曇りの日も含め、外の明るさを感じるだけでも構いません。これで体内時計がリセットされ、からだの時間と社会的な時間とのズレが解消されます。

 とはいえ、年末年始は親戚や友人が集まり、夜更かしをすることもあるでしょう。夜更かしをしても朝は同じ時間に起きて活動し、その日の夜に早めに床に就き、しっかりと眠るようにしましょう。お正月料理を食べてテレビを見ながら、ゴロゴロして寝てしまう、ということもからだのリズムを乱す原因となりますので気をつけましょう。

 お子さんも同様です。年末年始、大人と一緒に夜更かし・朝寝坊を繰り返していると、朝になってもからだが目覚めないサイクルに陥り、新学期の登校が難しくなることがあります。夜更かしは大みそかだけにする!などと家族で決めて、不規則な生活に歯止めをかけましょう。

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