※写真はイメージ (写真:GettyImages)
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名軍師ベスト10 (週刊朝日 2018年12月14日号より)
名軍師ベスト10 (週刊朝日 2018年12月14日号より)

 日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者は、絶対に裏切らないと信じていた重役たちの告発により逮捕され、苦しい立場に追い込まれた。一方、歴史に名を残した戦国大名の多くは、諫言を厭わない軍師を「知恵袋」として重用した。その意見に耳を傾けることは“裸の王様”にならないための効果的な防止策だった。

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 彼ら戦国大名は、軍師に広範な学才と戦略眼を求めた。主君である自分とはまったく別の視点から、情勢判断を示されることを望んだのだ。そして数ある選択肢の中から最良の策を見つけようとした。ゴーン容疑者は、軍師タイプの側近を遠ざけたことが失脚の一因となったのかもしれない。

 言うまでもなく、軍師には家臣の中で最も優秀な人材が抜擢された。言わば「軍師=最強の家臣」であるのだ。今回は、彼ら軍師を「戦略・戦術」「内政」「外交」「教養」「先見性」という五つのパラメーターから分析し、完全格付け。総合点を算出し、ベスト10を決定した。その結果、戦国最強の軍師は黒田官兵衛(孝高)という結果が出た。

 官兵衛は、羽柴(豊臣)秀吉の軍師として活躍。備中高松城の水攻めを献策し実行しているさなか、本能寺の変が勃発。中国大返しを成功へ導き、山崎合戦に勝利するという一連の流れにおいて、軍師としての凄腕を発揮したと評価できる。

 2位の竹中半兵衛は、死を迎える瞬間まで戦国最強の軍師だった。官兵衛は教養のパラメーターでは半兵衛を追い抜くことができなくとも、西洋文明を積極的に取り入れ、羽柴軍の先進性を高めることにより、究極の軍師へと成長を続けたのである。

 戦国大名は、軍師のような知能派のタイプだけでなく、戦場では鬼神のように働く猛将たちも家臣として重要な職務につけた。その一方では、情報戦や謀略戦という「闇の世界」で活躍した忍者(忍び)たちを活用した。

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