【文豪の湯宿】水虫治療の効果は…タイミングが悪すぎた小説家 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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【文豪の湯宿】水虫治療の効果は…タイミングが悪すぎた小説家

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鈴木裕也週刊朝日

【深山荘 高見屋】菊池寛などの文豪や皇族も数多く宿泊した高見屋。里見弴が書き残した色紙「猶保赤子」は同館運営の美術館「わらべの里」に飾られている

【深山荘 高見屋】
菊池寛などの文豪や皇族も数多く宿泊した高見屋。里見弴が書き残した色紙「猶保赤子」は同館運営の美術館「わらべの里」に飾られている

創業から300年間、湧き続ける自家源泉。9つの湯が楽しめる/【深山荘 高見屋】山形市蔵王温泉54

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 文豪たちの作品に登場する温泉宿を訪ねる連載「文豪の湯宿」。今回は里見弴(とん)の「深山荘 高見屋」(山形県・蔵王温泉)だ。

【文豪が水虫治療で訪れた温泉の写真はこちら】

*  *  *
「小説家の小さん」と称され、文章の達人でもあった里見弴はかなり温泉好きの作家だった。例えば、昭和16年、53歳の年には箱根で年越ししたのを皮切りに、3月、4月、8月、11月と、山中温泉、下呂温泉、熱海など各地の温泉を訪れている。

 すべて仕事や家族旅行での訪問だが、ただ一つ、別の目的で訪れた温泉がある。蔵王温泉だ。蔵王の湯は、強酸性の硫黄泉で殺菌効果に優れ、皮膚病にも効果が高いとされる。長年、水虫に悩まされ続けた里見は、治療のため名宿・深山荘高見屋を訪れた。同年初夏のことである。

 里見の水虫は、友人で詩人の堀口大學が「去年、水虫でびっこをひいていた弴氏は、今年もまた水虫で足を傷めている」と心配したほど重症だったためか、半月の温泉治療を終えても、効果が表れなかった。

 次にすがったのが「掌療法」という民間療法だった。掌をかざすだけで健康回復すると信じて実行すると、しばらくして水虫は治まった。

 本当は温泉の効果だったのだろうが、タイミングが悪すぎた。里見の蔵王行きはこの時の1回きりで、その後も水虫に悩まされていたという。(文/本誌・鈴木裕也)

■深山荘 高見屋(みやまそう たかみや)
山形市蔵王温泉54

週刊朝日  2018年12月14日号


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