横浜戦で逆転本塁打を放った高橋佑輔君、生物資源科の実習中。豚の中には、8月18日の近江戦で2ランスクイズを決めた頃に生まれた9匹の「金農ナイン」も含まれている(撮影/写真部・東川哲也)
横浜戦で逆転本塁打を放った高橋佑輔君、生物資源科の実習中。豚の中には、8月18日の近江戦で2ランスクイズを決めた頃に生まれた9匹の「金農ナイン」も含まれている(撮影/写真部・東川哲也)

 今夏、秋田県立金足農業高校の快挙に日本中が熱狂した。同校の生徒たちは、どのような青春を送っているのだろうか。実習に励む授業の様子を紹介する。

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「お疲れ様です」

 出会う生徒、出会う生徒、皆が大きな声で挨拶をする。

 礼儀正しい高校生の振る舞いに驚く記者に、小野博美教頭は「挨拶励行は、時間厳守、整理整頓と並ぶ金農の生活信条なんです」と誇らしげに語った。

 彼らの素直さは、約19ヘクタール(東京ドーム4個分)の敷地でのびのびと学んでいることと無関係ではないだろう。生物資源、環境土木、食品流通、造園緑地、生活科学の5学科で、興味のある事柄を学んでいることも大きいようだ。実習の場に向かう表情は一様に明るい。文武両道に励む生徒が多く、野球部捕手の菊地亮太君は合格率30%前後という測量士補の資格を2年時に取得した。

 豚の世話をしている一塁の高橋佑輔君は、「小さいころから動物好きなので。きついとか臭いとか、言ってられません」と笑顔を見せる。そのうえで「農業系の大学で野球を続けて、その後、教師として金農で教えたい」。生徒たちは熱い母校愛も持っていた。

週刊朝日  2018年12月14日号