僕が構成をしていた「ほこ×たて」や、過去、ヤラセが発覚した番組の「ヤラセ」と「イッテQ」のことを、ひとくくりに「ヤラセ」とするのは違うのではないかと思う。

 猿の首を糸で引っ張ってたことを知ったら、視聴者は怒ると思う。だが、「イッテQ」のそれは、違うんじゃないかと思うんです。

 80年代、90年代許されていたことが今は許されない。やはり、存在しないものを「ある」と言うのは今の時代はダメなのだろう。

 だけど、大切なのは、あの番組はとてもおもしろいこと。そしてテレビ界において最後の砦だと思う。番組がホームラン級のヒットをすることって、出演者とスタッフの努力だけじゃなく、そこに時代の空気感とか、運とか、神様が手助けしてくれないとホームランにはならない。

 これからのテレビ界には、おもしろいものは生まれたとしても、「視聴率」という呪縛の中で、子供から大人まで、全世代が楽しめるという結果を出せるものは、出てこないのではないかと思う。だからこそ、「イッテQ」には、今回のことを踏まえて、さらにおもしろく変化と進化をしていってほしい。

週刊朝日  2018年12月14日号

著者プロフィールを見る
鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

鈴木おさむの記事一覧はこちら