前川喜平さん。本連載では読者からの前川さんへの質問や相談を受け付けています。テーマは自由で年齢、性別などは問いません。気軽にご相談ください。
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※写真はイメージ
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 文部科学省で事務次官を務めた前川喜平氏が、読者からの質問に答える連載「“針路”相談室」。今回は、同居する3人のめいからの言動に悩む女性からの相談です。

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Q:50歳独身女性です。父が亡くなり、父の保険金で家を新しくし、20年ほど前から母と兄家族と一緒に暮らしています。兄の家族は、兄夫婦に3人のめいです。私はその3人のめいが憎らしくてたまりません。

 めいが幼い頃からこれまで一度も、「おはよう」「ありがとう」「ごめんなさい」を言われたことがありません。最近、実母ががんになり、治療の副作用で髪が抜け、下痢が続いているのですが、それに対しても「汚い」「入院させて」などと言うのです。母は当然落ち込んでいます。兄にめいの言動を泣きながら注意すると、「怒ること?」と一言。

 こんな家、一刻も早く出たい。でも、お金がありません。母にも家にいてと頼まれます。私の心は黒く荒(すさ)む一方です。(千葉県・50歳・女性)

A:自分のおばあちゃんにそんなひどいことを言うなんて、3人のめいは人間として本当に失格だと思います。この子たちのためにも、いつか心を入れ替える機会があればいいなと思いますが、ご質問を読む限り、それは難しそうですね。めいがそんなふうに育ったのは、兄夫婦にも責任があるでしょう。肉親ともめるのは本当につらいことだと思いますが、憎い気持ちを収めるためには、「丑(うし)の刻(こく)参り」を試してみるのもいいかもしれません(笑)。深夜に近くの神社へ行って、兄家族5人に見立てたわら人形を五寸釘でご神木に打ち付けるのです。少しは気持ちが収まるかも。

「家を出たい」という気持ちはよく分かります。“兄弟は他人の始まり”とも言われますが、この際本当に他人になった方がいいのではないでしょうか。このまま同じ家にいて、関係を改善するのは難しいでしょうから。肉親だからといって仲良くしないといけないというわけではない。兄家族とは縁を切って、お母さんと二人で暮らした方がいいと思います。

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前川喜平

前川喜平

1955年、奈良県生まれ。東京大学法学部卒業後、79年、文部省(現・文部科学省)入省。文部大臣秘書官、初等中等教育局財務課長、官房長、初等中等教育局長、文部科学審議官を経て2016年、文部科学事務次官。17年、同省の天下り問題の責任をとって退官。現在は、自主夜間中学のスタッフとして活動する傍ら、執筆活動などを行う。

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