防災上の懸念もある。昨年9月の台風21号で関西空港が冠水して大きなダメージを受けたが、夢洲の護岸ブロックも破壊された。

「大きな台風が来れば、パビリオンなど壊れるでしょう。防災対策を含めると会場建設費とは別に3千億円くらいかかるのではないか。万一、南海トラフ地震が起きたら、甚大な被害が起きることになる。なぜ、周辺整備に莫大なお金がかかり、しかも危険な場所で万博を行おうとするのか、全く理解できません」(同前)

 夢洲は、大阪維新の会を率いる松井一郎・大阪府知事らが万博予定地の隣に、関西経済の起爆剤として、カジノを中核とする統合型リゾート(IR)の誘致を目論んでいる。それを安倍政権が後押しする構図だ。

 大阪選挙区選出の辰巳孝太郎参議院議員(共産)がこう指摘する。

「万博がカジノとセットで推し進められたことは、万博誘致委員会のオフィシャルパートナー(公式スポンサー)として、外資系カジノ企業5社が名を連ねていることからも明らかです」

 誘致委員会のホームページを見ると、オフィシャルパートナーとして国内企業やグローバル企業が列挙されているが、その中に「ラスベガス・サンズ」「シーザーズ・エンターテインメント」「MGMリゾーツ」はじめ5社が参加している。特にラスベガス・サンズなど米3社は、トランプ大統領が安倍晋三首相に参入をねじ込んだと見られている。

 辰巳氏が続ける。

「カジノ誘致には大阪府民だけでなく、国民の大半が反対しています。カジノ施設のために電気、水道などのインフラや交通アクセスの整備に税金や経済界からの投資は使いにくいから、万博を大義名分にして隠れ蓑にしているのです。また、安倍首相は米国からカジノ企業を参入させることを求められたことについて否定していますが、ラスベガス・サンズのアデルソンCEOはトランプ大統領の大スポンサーです。日本食い込みを迫られたのはまちがいないでしょう」

 しかも、ラスベガス・サンズのアデルソン氏はじめ、米国やシンガポール、香港のカジノ企業トップが今年5月までに25回にわたって、松井府知事や吉村洋文・大阪市長を表敬訪問している。各社ともPRに躍起なのだ。大阪府・市のIR推進局はIRの24年開業を目指し、万博開催までに間に合わせようとしている。

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