カジノ誘致を推進する松井大阪府知事(c)朝日新聞社
カジノ誘致を推進する松井大阪府知事(c)朝日新聞社
大阪万博とカジノ誘致を後押した安倍首相(c)朝日新聞社
大阪万博とカジノ誘致を後押した安倍首相(c)朝日新聞社

 政府が誘致を目指していた2025年国際博覧会(万博)の開催地が大阪に決まった。およそ2兆円の経済効果を謳い、関係者はお祝いムード一色だが、本当に手放しで喜んでいる場合なのか。

【写真】大阪万博とカジノ誘致を後押したのは…

大阪では55年ぶりの開催で、今回は大阪湾に浮かぶ人工島の夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)が舞台となる。現在、夢洲は一部にコンテナターミナルがあるだけで、大部分は空き地の状態。総面積は約390ヘクタールあるが、いまだ埋立てが終わっていないエリアもある。

「夢洲は80年代に先端技術を集約した新都心『テクノポート大阪』を作る構想がありましたが、バブル崩壊で頓挫。その後、08年夏季五輪に大阪が手を挙げた時にも選手村として利用する予定でしたが、誘致に失敗して計画は幻になりました。夢洲は“負の遺産”の象徴であり、敷地のほとんどが空き地のままでぺんぺん草が生えています」(関西経済同友会関係者)

 未整備な人工島のため、インフラ整備や交通アクセスなどの経費が重く圧しかかることになる。まず、会場やパビリオン建設費の約1250億円は、国と大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担する。運営費の約820億円は9割を入場料収入で賄う計画だ。来場者数2千8百万人を想定しているというが、開催期間は5月3日~11月3日までの185日間だから1日平均で約15万人にもなる。これも皮算用でしかないだろう。

夢洲の南側に隣接する咲洲(さきしま・住之江区)から地下鉄の延伸や、渋滞対策のための道路拡幅など関連事業費730億円は、原則的に自治体の負担となる。そればかりか、経費はどんどん膨らむ可能性が高いのである。

大阪市内の有力な経営者の一人が言う。

「夢洲の北側にある舞洲との間に夢舞大橋があるが、1日15万人を輸送するにはもっと橋が必要です。同じ規模の橋を一つ架けると、おおよそ70~100億円くらいかかります。大阪市長の吉村(洋文)さんはバスでピストン輸送すると説明するが、バス発着場に来るための駐車場スペースなんてどこにあるというのか」

次のページ
防災上の懸念も