事件があった宮崎県高千穂町の飯干保生さん宅 (c)朝日新聞社
事件があった宮崎県高千穂町の飯干保生さん宅 (c)朝日新聞社
6人を殺害したとされる次男の昌大さん
6人を殺害したとされる次男の昌大さん
犠牲になった昌大さんの長男、拓海さん
犠牲になった昌大さんの長男、拓海さん

 宮崎県高千穂町の小さな集落に住む飯干保生さん(72)方で6人が惨殺された事件から1週間。

【次男の昌大さん(42)の写真はこちら】

 宮崎県警は、現場から約2.5キロ離れた神都高千穂大橋下の五ケ瀬川に飛び込み、自殺した、次男の会社員、飯干昌大さん(42)が無理心中を図った可能性が高いとみている。

 殺害されたのは、農業を営む飯干保生さん、妻の実穂子さん(66)、次男の昌大さんの妻、美紀子さん(41)、昌大さんの長男で建設会社従業員、拓海さん(21)、昌大さんの長女で小学2年の唯ゆいさん(7)と、昌大さんの知人の松岡史晃さん(44)の6人。

 事件現場となった集落は、周辺の道を封鎖して今も捜査が続いている。

「妻の美紀子さんと娘の唯さんは、首を絞められ殺害されていた。唯さんは、昌大さんの勤務先の旅行から帰ったままの服装だった。長男の拓海さんの部屋には布団が敷かれていて、寝ようとしていたのではないか。昌大さんと美紀子さんが不倫などでケンカになり、松岡さんが仲裁にやってきて一度は、収まった。その後、昌大さんが許せないと激怒して不意を突いて、犯行に及んだのではないか」(捜査関係者)

 昌大さんは、地元の木材会社で配送の仕事をしており、勤務先では、真面目で責任感が強いと信頼も厚かった。

 なぜ、凶行に及んだのか?

 昌大さんの幼なじみは、本誌の取材にこう証言した。

「唯さんを溺愛と言ってピッタリなほど、かわいがっていた。もう7歳なのに、今でも抱っこしているほど。昌大さんと美紀子さんが唯さんを真ん中にして、3人で手をつないでよく遊んでいた。そんな優しい男が6人を殺し、しかも自分の家族だなんて信じられない」

 昌大さんは、1度は高千穂町に住む別の女性と結婚。長男の拓海さんが誕生した。

「拓海さんが生まれ、1、2年して離婚した。その後、昌大さんは両親の保生さん、実穂子さんの助けも得て、大人に育て上げた。拓海さんは、昌大さんと折り合いが悪い時期があり、家を離れていたこともあったが、今は戻ってきて地元で働くようになり、『よく帰ってきてくれた、よかったよ』と嬉しそうに話していた」(同前)

 そして、10年近く前に、美紀子さんと再婚。唯さんが誕生した。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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