これで店内にいる女子全員に声を掛けたことになる。でもワインの2人組はまだ楽しそうに女子会の真っ最中。待つしかない。

 すると奥から現れた背の高いスーツ姿の男性が、最後に声を掛けた素朴女子たちにアタック。楽しそうに話が進み、素朴女子2人が席を移動して合流してしまった。完敗である。

 彼らのあとを追うと、すでに若い男性3人と素朴女子2人が合コン状態になっていた。楽しそうな席に割り込んで取材しにきたことを告白。男子3人は金融関係企業の入社1年目の23歳。男子3人のリーダー格は「一番女子受けするコイツを派遣した。正解だった」。

 女子2人は出会いを求めて時々コリドー街にやってくるという。来れば必ず複数の男性に声を掛けられるので、焦らずに好みの男子が現れるまで待つそうだ。でも、恋に発展したことはまだないらしい。男子3人は先輩たちから「コリドー街はいい」と聞いて同期3人で初参戦したという。

 話を聞いて席に戻ると、まだワイン女子はお話し中。さすがにしびれを切らせて、「そろそろ合流してくれませんか」と催促。「あ、ごめんなさい」と2人はすぐにやってきて、やっと乾杯にたどりついた。

 元同僚の2人は、この日、1年ぶりに会う約束をして近況を話し合っていたという。眼鏡の女性・ユカリさんは独立して自動車関係の会社を設立。友人のサチコさんは転職したばかり。2人とも、コリドー街が“聖地”だとは知らなかった。聞き上手の菊地記者のおかげで約40分のトークタイムを2人とも楽しんでくれたようだ。とはいえ、再会の約束はできずにお開き。

 すでに23時近い。終電も近いのに、人だかりは増すばかり。そこらじゅうで“声掛け活動”が繰り広げられている。ガードレールに腰かけて、ナンパ待ちポーズの女子には、次々と男たちが寄ってくる。

 我々も声掛け再開。すれ違う女子2人組に次々と声を掛けた。合計9組。返事さえしてくれない女子が4組。小さな声で「ごめんなさい」と拒否した女子が2組。歩きながら話を聞いてくれただけが1組、「圏外!」と冷たく言い放ったのが1組、立ち話にまで発展したのは「ナンパ待ちだよ」と言う20代2人。「高身長高収入男子狙い」「私は社長狙い」とかなり高望みだが、社長狙いの女子はLINEのIDを交換してくれた。翌日メッセージを送ってみたが、既読無視。

 15戦14敗。断られ続けてわかったのは、コリドー街に出会いを求めて来た女子にとって50代男子は用ナシ。相手にもしてくれない。しかし、普通に飲みに来た女子ならば、運がよければ一緒にお話くらいはできる可能性もある。同輩諸君、試してみたらいかがか?(本誌・鈴木裕也)

※週刊朝日2018年12月7日号