平野:たとえば、一発屋の芸人さんって、衣装がずっと同じなんですね。私もデビューしたときは母親が着てた肩パッド入りの赤い衣装だったんですけど、それでずっと出続けたら飽きられる。だからマネジャーにも誰にもわからないように、1年半かけて眉毛をちょっとずつ細くしたり、肩パッドの綿をちょっとずつ抜いていったんですよ。

林:ほお~。

平野:芸人って、衣装も含めてネタみたいなところがあるから、番組に出ても、「いつものでお願いします」って言われて、スタイリストさんがつかないんです。だからこれは危ないなと思って、マネジャーに「そろそろスタイリストさんつけて」とお願いして、赤の衣装から柄を入れたり、髪の毛もソバージュっぽいのからストレートにしたりして、派手さだけは残しつつ、じわじわ変えていったんですよ。そしたら今では、衣装が赤じゃないことすら誰も気がつかないという(笑)。

林:それはすごく頭のいい作戦だと思いますよ。ネタでいろんな有名人の名前を出してらっしゃるけど、本人から怒られたりしないですか。「しもしも~、舘ひろし?」とか言っても。

平野:舘ひろしさんに関してはお会いしたこともなく、どう思ってらっしゃるのかわからないですけど、石黒賢さんなんかは「どんどん言っていい」みたいな感じですね。

林:デヴィ夫人は、バブルのころは今みたいにテレビに出てなかったですけど、いい関係なんですか。

平野:はい。顔が似てると言われて、ものまね番組とかいろんな番組でご一緒すると、「あーた、すごくいいわ。どんどんやってください」とやさしくおっしゃってくださって。あと、ユーミンさんも2回ぐらいラジオに呼んでいただきましたけど、あのユーミンさんが50音ネタ(50音の一つを言われると、バブル時代の言葉で返すノラさんのネタ)をやられてました(笑)。本番中、スタジオの電話が鳴って、「出なさい」ってユーミンさんに言われて出たら石黒賢さんで、引き合わせてくださったり。すごく励ましてくださってます。

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