「クラウドファンディングを始めたころは、やるという提案だけで炎上しました。芸人さんの中にも批判する人はいました。おそらく世間の99%は、炎上=悪いことととらえるんです。つまり、炎上しているから西野は悪い奴なんだという、この理解の仕方はやばいですよね。かつて話題になった『おでんツンツン男』や、コンビニのアイスクリームのケースの中に入ってTwitterにアップした人たちが起こした炎上と、僕がクラウドファンディングというものがありますよと提案したときの炎上が、区別がつかずごっちゃになっている。どちらも、『炎上した悪い人』になるんです。そこを、知らねえわと切り捨てることは簡単なのですが、それによって未来が先延ばしになってしまう。それが嫌なので、あきらめたくはない」

 西野さんの提案や発言は、すぐに理解を得られることは、少ない。

「理解ができないものに対して、まず批判から入ってしまう人がいます。そうしないと、理解できない時点で自分のほうが下になってしまうからなんです。僕が何か新しいものを起こしたときに批判しておかないと、西野より下になってしまう。お化けも同じですが、理解できないもの、得体のしれないものって怖いですからね」

 西野さんは、「こういう言い方をすると、絶対炎上すると思うのですが」と前置きしたうえで、こう例えた。

「どこか、原住民にスマートフォンを見せるような感覚があります。これ、むっちゃ便利だよと言っても通じなくて、ヤリでつついちゃうような感じ。まずそもそも電話というものがあって、携帯電話があって、と説明したくても、ヤリでバンバンやって、壊しちゃう。そんな感じです。『オレたちは原住民か!』と、確実に怒られそうですが、僕はそれで止まることはない。ボコボコに殴られたり、ヤリでグサグサ刺されながらも、『スマホのこのボタン触ってね』というのをずっと言い続けるような感じです。『このあいだお前の子供が迷子になって大変だったけど、このボタンを触ったらマップが出て、これがあったら大丈夫だよ』ということを、グサグサ刺されながら説明するような。ヤリで刺されてもあきらめない。でももう慣れましたね、刺されても気づかないぐらいの身体を手に入れました(笑)」

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西野さんにとっての本の価値とは?