「アメリカの野球関係者は歴史好き、記録好きなんです。チームの戦力になった、という意味ではアンドゥハーですが、球史に残る、という意味で大谷の二刀流が評価されたんでしょう。

 それと、ライバルのアンドゥハーがヤンキースの選手だったことも大谷には有利に働いたはず。地域密着のMLBで唯一の全国区がヤンキースで、人気チームだからこそ判官びいきでアンチも多いですから」

 かくして、二刀流プレーヤーとして“初”の新人王となった大谷。メジャーでも二刀流が通用すると認められた訳で、日本ハム入りして二刀流に挑戦し、無理だ、やめろ、と言われていたころとは隔世の感がある。

 10月1日に右肘内側側副靱帯の再建手術を受けたので来季は投手はせず、打者に専念することが決まっている大谷。高校時代から見続けてきた前出スカウトは「元々バッティングのほうがすごいので楽しみです。目をつぶっててもわかるほど打球音が違いますから」という。前出ベテラン記者が、そのすごさが理解しやすい例えを話してくれた。

「日米野球では、メジャーリーガーを差し置いてソフトバンクの柳田が一番飛ばしてましたが、大谷の飛距離にかなわない。日米野球でアメリカチームのコーチとしてやってきた松井秀喜は『特別な才能を持っている』と大谷を評価してましたが、現役時代の松井と大谷の飛距離を比べたら、比較にならないほど大谷のほうが飛ばします。松井のスイングはコンパクトに速かったですが、大谷のスイングは、大きくて速いんです。特別な才能ですよ(笑)」

(黒田朔)

週刊朝日  2018年11月30日号