ロシア杯で優勝を飾った羽生(C)朝日新聞社
ロシア杯で優勝を飾った羽生
(C)朝日新聞社
ロシア杯でのアクシデントを乗り越え、優勝した羽生(C)朝日新聞社
ロシア杯でのアクシデントを乗り越え、優勝した羽生(C)
朝日新聞社

 誰も羽生結弦の上に立つことができないのか。羽生は11月17日、モスクワで開かれたフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦ロシア杯で、278・42点で優勝を飾り、自身初のGPシリーズ2連勝を果たした。

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 この日午前の公式練習中にジャンプで転倒、右足首をひきずるなど不安を残しフリーにのぞんだが、全く問題はなかった。

 フィギュア大国ロシアの地で圧巻の演技を見せた。羽生の見事な滑りに、元フィギュアスケート選手の渡部絵美さんは、賞賛の声をあげた。

「痛みをこらえてよく頑張ったと思います。転倒もありましたが、演技構成を押さえることで点数を重ねることができました」

 また、スポーツライターも羽生の底力に呆れた。

「ケガの度合いはわからないが、決めるべきところで決めるのはすごい。アクシデントがあったことで結果的にモチベーションが上がったかもしれません」

 羽生はロシアへの思い入れが強い。フリーのプログラム「Origin(オリジン)」は、羽生にとっての憧れの存在である五輪金メダリスト、ロシアのエフゲニー・プルシェンコ氏の「ニジンスキーに捧ぐ」をモチーフにしている。また、羽生はSP後の会見でロシアに対するこだわりをこう語っていた。

「僕はこの大会がもう4回目。初めて来たときはシニアに上がったシーズンだったが、そのときにジュニア男子のファン投票みたいなものがあり、ロシアのファンの方々に選んで頂いた記憶がすごくうれしかった。僕のスケートのルーツは、たどっていくとロシア。そういった意味でも、ここで良い演技をしたいなっていう気持ちも強くあります」

 現地で取材した別のスポーツライターも、ロシアでの変化を感じとった。

「今回の演技を見ていて、GPシリーズのフィンランド大会よりも感情を込めてやっている雰囲気がありました」

 五輪を2連覇して、さらに進化を続けている羽生。多少のケガすら止めるのは不可能だ。

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羽生を止めるのは誰?