ATPツアー・ファイナルで惜しくも予選敗退となった錦織圭選手(写真/getty images)
ATPツアー・ファイナルで惜しくも予選敗退となった錦織圭選手(写真/getty images)

 ロンドンで開催中の男子テニスの年間成績上位8人による今季最終戦、ATPツアー・ファイナルに出場した錦織圭は11月15日、シングルスの1次リーグB組最終戦の第3戦でドミニク・ティエム(オーストリア)に0−2で敗北。ロジャー・フェデラーに勝利したものの、1勝2敗で予選敗退となった。試合後の会見では、負けて悔しさをあらわにしたが、昨シーズンの手首痛から見事にカムバックした1年だった。

【ドン小西も「ただ者じゃない」と絶賛した大坂なおみのファッションはこちら】

 錦織は昨年8月、右手首の腱を負傷し、その後の大会を全て欠場した。テニス選手にとって、手首の怪我は選手生命に影響する。結局、手術をせずに治療とリハビリを行ったが、約半年も実戦から離れた。錦織は2018年に入って、1月下旬、下部ツアーの大会で復帰するも1回戦で敗れてしまった。しかし、そこから徐々に復調。ATPツアーでは3度決勝に進み、全米オープンでベスト4まで進んだ。

 ランキングでは今シーズンは、昨シーズン終盤にツアーを欠場した影響もあり、ランキングを一時39位まで落としたが、少しずつ上げていくと、シーズン終盤に好結果を出してポイントを稼ぎ、ツアー・ファイナルに滑り込んだ。錦織はティエム戦後、敗戦の悔しさをあらわにしつつ、この一年を前向きに捉えた。

「十分すぎる一年だった。ここに出れなくてもおかしくなかった。少しずつ良くなってきていた。痛みと戦いつつ、自分のテニスとも戦いつつ、最近は特に乗り越えられた一年だった。怪我もそうだし、メンタルもそうだし。体が強くなって痛みがでなくなったことも例年では無かったこと。いろんなことが怪我から復帰して乗り越えられた」

 元テニスプレーヤーの杉山愛さんは、錦織の復活を讃える。

「この1年は素晴らしいカムバックと活躍だったと思います。手首の怪我は(テニス選手にとって)難しく、半年近くツアーから離れて、1月下旬の復帰戦を見た感じでは、怪我からの復帰と元の調子に戻すのは時間がかかるかなと思っていました。ところが、意外や意外、早かったですね。夏の全米オープンの準決勝、ツアーファイナルを決めたインドアシリーズでは内容が素晴らしかった。錦織選手はタイトルこそ取れませんでしたが、総合的には良い一年んだったと思います」

次のページ
錦織の精神面に注目