新垣結衣主演「けもなれ」と「逃げ恥」は何が違う? TVウォッチャーが比較

連載「てれてれテレビ」

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 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏が、「獣になれない私たち」(日本テレビ系 水曜22:00~)をウォッチした。

【画像】カトリーヌあやこ氏がみた「獣になれない私たち」はこんな光景…

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 脚本は「逃げるは恥だが役に立つ」の野木亜紀子、ヒロイン晶役は新垣結衣。と来たら、もうみんな脳内で恋ダンスを踊りまくって待ち構えていたと思う。

 しかしこのドラマ、そんな浮かれた脳天への冷や水のぶっかけっぷりが凄まじくて、ちょっと笑った。

 小さなIT系企業で営業アシスタントをしている晶。この職場環境が、とんでもなくブラックだ。早朝から携帯に、ガンガン届く仕事のメッセージ。やたらと怒鳴りまくる社長。

 無能な同僚は次から次へと、気軽に仕事を押し付け、後輩の尻ぬぐいで、取引先に謝罪に行けば、「土下座してよ」と言われる。

 土下座してみりゃ、クライアントのエロおやじが、「ゴメンね~」と、頭をナデナデ。もうやめて! このあたりで、日頃仕事に疲れてる視聴者は泡吹いてブッ倒れてるところ。

 私生活だって、泥沼だ。結婚を約束した恋人・京谷(田中圭)の部屋には、4年前から無職の元カノ(黒木華)が住みついている。

 いつまでたっても元カノを追い出せない優柔不断な恋人。仕事もプライベートも、ゴリゴリと自分の要求を通したもん勝ち。波風を立てたくなくて、我慢している者の気持ちは、誰も汲み取ってくれない。

 どこまで行ってもしんどい砂漠。行きつけのビールバーの常連客・恒星(松田龍平)は、そんな彼女を見て「完璧な笑顔がキモい」と言う。

「見てるとイライラする。ブッ壊せばいいのにな」と、言い放つ。

 キラキラとグラスに注がれるビール。泡は少なめ。クラフトビールは泡に雑味が多いので、泡を少なくした方が、本来の旨味を味わえると、語るマスター。

 このドラマは、まるで泡のようだ。「逃げ恥」が黄金色にきらめく旨味に満ちた液体ならば、「けもなれ」にあるのは泡の雑味。

 ガッキー可愛い&星野源うらやましいでスイスイ見られたファンタジーは、夢の彼方。この現実は、可愛げもないし、まったくうらやましくもない。

「なんで人間、馬鹿なことしちゃうかなぁ」と、恒星は嘆く。「いろいろとよけいな雑味が含まれてる」と。

 しんどくて、雑味ばかりのままならない日常。それは、泡ばかりのビールのような物語。でも、お願いだから、最終回くらいは美味いビール飲ませてよ。

※週刊朝日2018年11月23日号

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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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