【指圧の注意点】


(1)親指の第一関節を伸ばして第二関節を曲げる
(2)手のひらの指の付け根が相手に触れないように
(3)手をまっすぐ下ろした状態で手首はねじらない
(4)力を入れすぎない。相手が心地よい「快圧」で
(5)指圧の前後には手を洗い清潔にする

 整理した上の注意点をチェックしてほしい。次からは年代別のポイントを具体的に見ていく。

 高橋さんが働き盛りの40~50代に薦めるのが前出の「浪越圧点」。お尻と腰の間の側面にある部位で、浪越氏が経験上見つけた。

「ここを押すと坐骨神経痛や生理痛が和らぎ、お尻全体が温かくなったという声もあります。座っている時間が長い人ほど硬くなりがちなので、デスクワークの人はしっかりほぐしてあげましょう」

 受け手はうつぶせになり、やる側は片足を縦に大きく開いた前傾姿勢になる。重心を移すことで力が入るため、指には力を入れなくていい。

 この年代はストレスがたまりがちで、胃腸が心配だ。仰向けになった受け手のおなかに手をのせ、お辞儀をするように自然に圧をかける「腹部掌圧(しょうあつ)」をしてみよう。受け手がベッドのときはやる側は椅子に座り、布団のときは相手に向かって正座かあぐらになる。

「おなかと首の指圧は全身の中でも難しく、圧の強さに注意が必要です。おなかの場合は守る構造が薄いので、ググッと強く押さないように」(高橋さん)

 次は60代。加齢に伴って目の疲れや病気が現れやすい年代だ。手ぬぐいやタオル越しに目の上に3本の指を置き、軽く圧迫する「眼球掌圧」が効くという。

「目はおなかと同じくデリケートなゾーン。眼球は強く押さず、手を軽くのせるだけで十分。目が疲れている人は、いっしょに首の付け根を押すとよいでしょう」(同)

 頭もほぐしたいが自分一人では難しい。家族らでお互いにやり合おう。手のひらで全体を挟んでもいい。頭に圧を与えると目の疲れがとれて、心も落ち着く。

「頭の真ん中のラインだけでなく、頂点から横に開くように、まんべんなく押していきましょう。頭は指圧で問題が起きるリスクが少ない場所です。日本指圧専門学校では、1年生が最初に互いに組んで練習する部位です」(同)

 70代は「まだまだ元気」と思っていても、筋肉が縮み、膝(ひざ)が曲がって前傾姿勢になりがちだ。高橋さんによると、それを防ぐためには「膝裏」と「腿(もも)の後ろ」の指圧点が有効だという。

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