俳優というのは、現場に自分の体ひとつで入っていくという、繊細で臆病にならざるを得ない立場だと思うんですけど、圭くんは極力、相手と人間同士の関係を築こうとしているように感じますね。たとえば、恋人役の新垣さんに対しても自分から語りかける。その笑顔も、話術も、あるいは立ち居振る舞いも……すっとドアを開けてあげるとかね、とってもスマート。あれだけ働いているのに、疲れた顔は一切見せないし、彼の年齢では考えられないほど見事だと思います。

 圭くんは、「おはようございます」と「お疲れさまでした」も、人一倍大きな声で言うんですよ。俳優だけでなく、スタッフ全員に必ず挨拶する。こんなに礼儀正しい俳優は、めったにいない(笑)。そんなふうに挨拶できる人は、愛情も深い人だと思いますし、それが芝居にも出ている。どんなに大物になっても、そういうところを失わないでほしいですね。

■水田伸生(みずた・のぶお)
ドラマ演出家、映画監督。1958年生まれ。現在放送中のドラマ「獣になれない私たち」(水曜22時~・日本テレビ系)のほか、代表作にドラマ「Mother」「Woman」などがある

※週刊朝日オンライン限定 フルバージョン・インタビュー