土産店や食堂などが立ち並ぶ那覇市の国際通り。沖縄県ではサービス業を起業するシニアも目立つ (c)朝日新聞社
土産店や食堂などが立ち並ぶ那覇市の国際通り。沖縄県ではサービス業を起業するシニアも目立つ (c)朝日新聞社
有給休暇の取得状況(2016年) (週刊朝日2018年11月9日号から)
有給休暇の取得状況(2016年) (週刊朝日2018年11月9日号から)

 人々の“働き方”に注目が集まる日本。有給の取得状況や子育てと仕事の両立のしやすさなどは、地域によって異なる。育児に積極的な「イクメン」が多いところもあり、働き方はさまざまなのだ。都道府県ごとの「仕事の県民性」を調べてみた。

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 来年4月から年5日間の取得が義務化された年次有給休暇。取得率と平均取得日数で、その取得状況を比較した。

 一番休みやすいのは沖縄で取得率66.03%、平均取得日数9.58日。週60時間以上働く比率も最も低く、「ワーク・ライフ・バランス」が進んでいる。ほかにも神奈川、東京、埼玉など都市圏が目立つ。

 有給休暇が取りにくいのは福井。福井県労働政策課の担当者は、人手不足で休みにくい背景もあるとしながらも、こう説明する。

「子どもが熱を出して遅れて出社しても、『お互いさま』と融通し合える雰囲気が、取得率を下げている側面もあります」

 大阪も有給休暇が取りにくいエリアのひとつ。

「商人気質があり、従業員に厳しいところがある。経営者が休まず働くので、従業員も休みにくい雰囲気がありそうです」(『犬猿県 絶対に負けられない県が、隣にいる!』などの著書がある県民性の専門家、矢野新一さん)

 収入や労働条件の良い企業に積極的に移る人もいて、転職市場は活況だ。「転職者比率」では、沖縄が6.7%でトップ。転職者率が高いところは、「平均継続就業期間」は短い。転職情報サイトを運営するマイナビの担当者は県民性についてこう分析する。

「沖縄や福岡は地元が好きだという人の割合が高く地元志向。県内で転職する人が多いのだと思います」

 退職理由についても県民性はある。「収入が少なかったため」離職した割合は山梨9.9%。

「山梨は甲州商人で有名で、『甲州商人が通ったあとはぺんぺん草も生えない』と言われたほど。稼ぐ意識が強いのだと思います」(前出の矢野さん)

「労働条件が悪かったため」離職した割合は神奈川15.8%。通勤時間が長く、長時間労働をしている人の割合も高いため、労働条件にシビアな面がありそうだ。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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