帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
写真はイメージです (c)朝日新聞社
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 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「プラシーボと認知症」。

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【ポイント】
(1)プラシーボとは薬の成分が入っていない偽薬
(2)偽薬であっても医療効果が期待できる
(3)期待感、信頼感が脳を活性化する

 プラシーボという言葉はあまり聞きなれないかもしれません。広辞苑でプラシーボを調べると、「偽薬」とあります。

 つまり、薬の成分が入っていないインチキな薬ということです。ところが、この偽薬は単なるインチキで終わらないところが、面白いところなのです。

 薬の効果を調べるのに二重盲検法というやり方があります。薬の成分が入った本物と成分が入っていない偽薬を使って検査するのです。なぜ二重盲検かというと、薬を出す医者、薬を服用する患者さんの両者に対して、どちらが本物かわからないにようにするからです。その上で両者の薬の効果を比較します。

 この検査で本物の薬は効果があって、偽薬は効果がないとなればわかりやすいのですが、実際はそうはなりません。本物の薬にはかなわないものの、インチキな薬でもある程度の効果が出るのです。これをプラシーボ効果といいます。

 このプラシーボ効果をどうとらえるかで、医学に対する姿勢の違いがわかります。統合医学のオピニオンリーダーであるアンドルー・ワイル博士は、プラシーボ効果を尊重します。

 もとより、プラシーボという言葉は、ラテン語が語源で、「喜ばせる」「喜びを与える」という意味から「受け入れられる」「前に進む」という意味までを含んだものでした。

 ワイル博士は医療効果を向上させるには以下の三つの条件があると言います。

(1)その薬剤を患者さんが信頼する(2)医者も同じくその薬剤を信頼する(3)医者と患者さんが信頼の絆で結ばれている。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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