いまの世の中、定年後の人生も長い。定年後は定年後でスパッと人生を切り替えたいところだが、

「それは僕は、ゆっくりでもいいんじゃないかなと思っているんです。老後の自分の居場所をつくろうと“悪あがき”をすることはない。無理をして新しいコミュニティーに入ろうとすれば、それは最終的には自分を追い詰めていくことになりますから。自分の居場所は、つくるものではありません。心地いい居場所は探すもの。ちょうどいい場所に出会うまではちょっとぐらい孤独を楽しんでもいいんじゃないかな」

 そして心にとめておきたいのは「生きることはせつないこと、苦しいことの連続なのだ」ということだ。

「人生には苦しいことがあって当たり前なんです。それを前提に生きていないと、何か問題に直面したときにすぐ、めげてしまいますよ。でも何があっても、自分が不幸せだなんて思わないこと。不幸せは、自分が不幸せだと思い始めたところから始まるんですから」

 ああやっぱり神様、仏様、さだまさし様。最後は金言で、人の胸をスパッと射ぬいてくれるのである。(赤根千鶴子)