東京都港区に住み、「セレブ」ともてはやされていた渡辺容疑者は「ミスター慶応コンテスト2016」のファイナリスト。スタッフブログにはこんなセリフが残っていた。「『僕みたいなダメ人間を応援してくれる人がいるんだ』って気づいて、それが一番嬉しかったし頑張らなきゃって思えましたね」「まずはこれから1年間くらいで、自信を持って『ミスター慶應の渡邉陽太です』って言えるようになりたいです」

 調べに対し、渡辺容疑者は女性の腹を蹴る暴行容疑については認めたが、準強制性交などの容疑については「酔っていたので思い出せません」と否認しているという。

「酒に酔っていて覚えていない」と否認する稲井被告については裁判が開かれる見通し。今後どのような展開が待っているのだろうか。性犯罪事件に詳しい雪田樹理弁護士によると、強制性交等罪の法定刑は5年以上20年以内の懲役刑で、有罪となれば実刑判決が下されるという。

「性犯罪事件の場合、検察は、ほぼ確実に有罪をとれると踏まないと起訴しないのが一般的です。被害者の供述の信用性が極めて高いこと、そしてそれを裏付ける『補強証拠』といわれる客観的証拠があれば、有罪判決になるでしょう」(雪田弁護士)

 雪田弁護士は補強証拠を要求することには否定的で「(国際水準では)同意のない性交はレイプであり、性犯罪が成立します。そういうことが社会的な意識として日本社会の中で進んでいないことが、大学生の安易な性犯罪が横行している一面であると思う」と解説する。

 稲井被告はかつて、雑誌のインタビューにこう答えていた。

「東京オリンピック終わったら卒業しようかなって。それまでみなさんの税金使わせてもらって。ホント自分、偏差値高すぎて申し訳ないです(笑)」

 彼らに厳しい目が向けられるのは間違いない。(本誌・上田耕司、田中将介、緒方麦)

※週刊朝日2018年11月9日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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