北海道日本ハムの栗山英樹監督(左)からドラフト1位指名のあいさつを受ける金足農の吉田輝星(C)朝日新聞社
北海道日本ハムの栗山英樹監督(左)からドラフト1位指名のあいさつを受ける金足農の吉田輝星(C)朝日新聞社
北海道日本ハムに5位指名された大阪桐蔭の柿木蓮(左)(C)朝日新聞社
北海道日本ハムに5位指名された大阪桐蔭の柿木蓮(左)(C)朝日新聞社

 高校生野手の評価が高く、例年に比べて各球団の戦略も明確だった今年のプロ野球ドラフト会議。その中でも目を引いたのは北海道日本ハムだった。この夏の甲子園スターたちを大量指名したが、「客寄せ」ではなく、選手の個性を見抜き、将来性まで評価しての指名には納得するばかりだ。

 今年のプロ野球ドラフト会議で起こった最初のサプライズは、12球団の1番目に読み上げられた東北楽天の指名選手が藤原恭大だったことだ。

 楽天の指名は、藤原と同じ大阪桐蔭の“二刀流”根尾昂か、“ご当地選手”として、金足農の吉田輝星が有力視されていた。やはり、事前に飛び交った情報などまるで当てにならない。ドラフトは、ふたを開けてみなければ分からないのだ。

 連続して3球団が藤原を指名し、会見場にいた藤原にも驚きはあったはずだが、表情を崩さない。交渉の相手が千葉ロッテに決まると、「トリプルスリーを狙えるような選手になりたい」と殊勝なコメントを残した。

 さらに根尾に対して4球団が、報徳学園の遊撃手小園海斗にも4球団が指名。エース菊池雄星のメジャー流出が濃厚で、「即戦力投手」という補強ポイントがはっきりしていた埼玉西武だけが、日体大の松本航の単独指名に成功した

 中日が交渉権を獲得した根尾と藤原、そして小園だけで11球団を独占したように、今年は高校生野手の評価が高く、例年に比べて各球団のドラフト戦略も明確だった。

 たとえば、藤原を外した楽天と阪神は、同じ外野手の辰己涼介(立命館大)を指名し、再びクジを引き合った(楽天が交渉権獲得)。小園の当たりくじをセ・リーグ王者の広島に奪われたオリックスも、やはり高校生内野手の太田椋(天理)を指名した。

 こうした高校生野手の特需に加え、投手は大学、社会人の「即戦力投手」から消えていく傾向が生まれ、その結果、目玉と目されていた吉田は、外れ1位でプロに進むことになった。

 それにしても、北海道日本ハムのドラフト戦略には改めて得心する。

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日ハムの妙味とは?