「在庫一掃セール」に踏み切った大塚久美子社長の決断は?(c)朝日新聞社
「在庫一掃セール」に踏み切った大塚久美子社長の決断は?(c)朝日新聞社

 逆風吹き荒れる大塚家具が、正念場を迎えている。

「前年同月を上回るご来店、ご注文をいただいており、店舗も活気づいております。ご好評いただいておりますため、延長することといたしました」(大塚家具広報担当)

 大塚家具は、「予想以上の売り上げ」で、10月28日までを予定していた在庫一掃セールを11月25日まで延長することを発表した。

「製造中止商品など旧モデルの在庫削減を行い、商品構成・売場構成の全体的な見直しを推進するためセールを行っています」(広報担当者)

 現在、12店舗、最大8割引きの在庫一掃セールを実施しており、10月の店舗売上は昨年7月以来、15カ月ぶりに前年同月を上回る勢いだという。

 17年12月末時点で100億円以上を計上していた大量の在庫は維持費として重荷となっていた。このセールで旧型の在庫や展示品を入れ替えるため、最大80%OFFのセールを実施。大塚家具のホームページではイタリア製ソファベッド65万8000円が80%OFFの13万1000円などセール品の一部を掲載している。

 東京商工リサーチ・大塚家具担当者はこう言う。

「セール中は値段が圧倒的に安いので、これまで購入を迷っていたり、足を運ばなかった客が購入している。セールに頼った売上回復と言いつつも、大塚家具にとっては、お店に客を呼ぶことが第一目的。お客さんすら来ない状況が続いたので、そういった意味では、第一歩を踏み出したと言えるのでは」

 スタッフの人出が足りず、本社のスタッフも現場に行かなければいけないほどの大盛況で、大塚家具にとっては、嬉しい悲鳴だが、「V時回復は厳しいのでは」という指摘もある。

「セール商品の利益率は間違いなく悪いため、売上は良くても、経営状態が良くなるわけではない。セール商品を買いにきたお客さんに、いかに通常の商品を買ってもらうか。営業マンの手腕が問われています」(前出の東京商工リサーチ担当者)

次のページ
高級家具のイメージからの脱却を狙うが…