【文豪の湯宿】山口・萩を巡る夫婦最後の旅 澁澤龍彦、思い出の宿 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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【文豪の湯宿】山口・萩を巡る夫婦最後の旅 澁澤龍彦、思い出の宿

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鈴木裕也週刊朝日

萩城三の丸の吉敷毛利家屋敷跡に作られた

萩城三の丸の吉敷毛利家屋敷跡に作られた

萩城三の丸 北門屋敷/皇太子夫妻がご成婚後、初めて宿泊した旅館客室でもある貴賓室「桂月」からは枯山水の庭園が一望できる

萩城三の丸 北門屋敷/皇太子夫妻がご成婚後、初めて宿泊した旅館客室でもある貴賓室「桂月」からは枯山水の庭園が一望できる

 文豪たちの作品に登場する温泉宿を訪ねる連載「文豪の湯宿」。今回は「澁澤龍彦」の「萩城三の丸 北門屋敷」(山口県・萩温泉郷)だ。

【皇太子夫妻も宿泊した貴賓室から見た枯山水の庭園】

*  *  *
 もともと自宅を離れることがほとんどなく“書斎派”と称された澁澤龍彦。旅や温泉を楽しむことはほとんどなかった。しかし、昭和44年に龍子夫人と結婚してからは、頻繁に夫婦で旅をするようになった。旅の途中でいい温泉を見つければ、喜んで入ったという。晩年は、出口裕弘、種村季弘、巖谷國士ら作家の友人夫婦と一緒に1泊2日の温泉旅行に行くのが毎年の恒例となっていた。

 多くの旅を楽しんだ澁澤夫妻だが、龍子夫人によると、最も思い出深いのは、昭和62年8月に下咽頭がんで逝去する前年の4月に山口・萩を巡った4泊5日の“夫婦で行った最後の旅”。旅の最終日となった4月11日は萩に宿泊した。

<その日は「北門屋敷」という、毛利屋敷跡に作られたとても大きな、和風旅館に泊まりました。じつをいうと、わたしにとって萩で印象に残っているのはこの旅館です>(澁澤龍子著『澁澤龍彦との旅』)

 澁澤本人もかねて興味を持っていた室町時代の大内文化ゆかりの地を訪ね、世界遺産にも登録された萩城跡に咲き誇る御衣黄桜(ぎょいこうざくら)を無邪気に楽しんでいたという。

(文/本誌・鈴木裕也)

■萩城三の丸 北門屋敷(はぎじょうさんのまる ほくもんやしき)
山口県萩市堀内210

週刊朝日  2018年11月2日号


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