若林健史(わかばやし・けんじ)/歯科医師。若林歯科医院院長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演
若林健史(わかばやし・けんじ)/歯科医師。若林歯科医院院長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演

 駅構内の通路やホームの壁、電車や道路から見えるビルなどに貼られた歯科医院の広告看板を一度は目にしたことがあるでしょう。院長やスタッフの顔が掲載されているものも多いようです。「うさんくさい」などと感じる声もあるようですが、実際のところそうした歯科医院は信頼できるのでしょうか? テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。

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 結論からいうと、広告をたくさん出していることと、歯科医院の信頼性は直接、関係はないでしょう。歯科医院も会社やお店と同じように、利用してくれる人がいなければ赤字になり、経営を続けることができません。患者さんに医院のことを知ってもらい、足を運んでもらうための手段として広告を利用するのは一つの方法です。

 実際、看板広告を出しているある歯科医師は、「看板を見て、患者さんがけっこう来てくれる」と話していました。
 
 インプラントや審美歯科などを専門にする歯科医院では、設備や材料費などに高額の経費がかかります。スムーズに経営を行うためには、多くの患者さんを診なければならない、と言っていました。分院を複数持っている歯科医院も、同様にたくさん来てもらう必要があります。

 近年、歯科医院のPR手段はなんといっても、ホームページです。これまで医療機関の広告は、看板やチラシなどに規制はありましたが、ホームページは規制がありませんでした。それが、今年6月に医療広告ガイドラインが変更され、ホームページにも厳しい規制が設けられるようになりました。治療前と治療後の比較写真などもいくつかの条件を満たさなければ掲載できなくなっています。
 
 物を売るのと違い、歯科や医科が提供するのは医療行為です。そのため、厚生労働省は、患者が誤った情報に基づいて医療機関や治療法を探してしまわないよう、規制を強めているようです。一方、歯科医院は試行錯誤しながら、いかに来院してもらうかに頭を悩ませているのです。

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若林健史

若林健史

若林健史(わかばやし・けんじ)。歯科医師。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演。AERAdot.の連載をまとめた著書『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか?聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中。

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