「3年前の安保法制の強行成立のときは、自民党の高村正彦前副総裁が仕切って、公明党の北側一雄副代表を説得して、法案を通した。それが響いて、昨年の衆院選では公明党は5議席も減らした。公明党は平和の党なのに、安倍さんの進める憲法改正とか、軍備増の路線に近寄りすぎると、支持母体の創価学会からの批判が強まっているんです。公明党が全力でサポートした沖縄県知事選で惨敗したのも、創価学会が割れて対立候補に票が流れた結果です。この上、安倍さんの改憲に付き合ったら来夏の参院選でまた議席を減らすかもしれないとかなり警戒している」
前出の角谷氏もこう指摘する。
「安倍さんの宿願であっても、憲法改正に今、国民はまったく関心がないでしょう。むしろ、消費税で頭がいっぱい。社会保障など税金の使い道に高い関心を持ち、国会できちんと論議してほしいのです」
四面楚歌の安倍官邸が密かに起死回生の逆転ホームランを打つべく狙っているのが、来夏の衆参ダブル選挙だという。
「野党共闘が成立すれば、来夏の参院選は1人区で自民党が議席を減らす可能性が高い。そこで不意打ちで衆参のダブル選挙を仕掛ける。すると、衆院ではまだ候補者すら野党は見つけていない状態なので大混乱は必至。火事場泥棒的に勝利し、官邸の求心力を取り戻し、任期中に改憲まで持っていきたいという皮算用です。そのため、引退した元貴乃花親方など票が取れる目玉候補を担ぎ出そうと必死で探しています」(前出の自民党幹部)
そうした安倍官邸の皮算用はどこまで通用するのか……。(本誌・上田耕司、田中将介/今西憲之)
※週刊朝日 2018年11月2日号