発足直後から片山さつき地方創生担当相、柴山昌彦文科相、宮腰光寛・沖縄北方担当相らの醜聞が発覚した第4次安倍改造内閣 (c)朝日新聞社
発足直後から片山さつき地方創生担当相、柴山昌彦文科相、宮腰光寛・沖縄北方担当相らの醜聞が発覚した第4次安倍改造内閣 (c)朝日新聞社

 10月24日に臨時国会が召集されるが、片山さつき、柴山昌彦、宮腰光寛の各氏ら新閣僚の醜聞が噴出。安倍晋三首相は消費税率を来年10月1日から10%に引き上げると改めて示し、野党に情報戦を仕掛けている。増税を2度も延期した張本人である首相を動かした裏にはある“密約”が……。

 安倍首相が増税を発表した2日後の10月17日、麻生太郎副総理兼財務相は上機嫌だった。都内のホテルで行われた「都議会のドン」こと内田茂氏の「旭日中綬章を祝う会」に出席し、こんなジョークを飛ばした。

「あまり週刊誌によく書かれないのは内田さんにしても、麻生さんにしても一緒なんだけど……(場内爆笑)」

 自らを「麻生さん」と語り、会の発起人代表の森喜朗元首相と笑顔で話していた。会場から立ち去る麻生氏に消費税増税について、本誌が直撃すると、「しゃべれないよ。変な記者には無理」と言い放った。自民党派閥領袖がこう言う。

「安倍首相、昭恵夫人が引き起こした森友疑惑に巻き込まれた財務省は、国税庁長官、財務事務次官らの首が飛んだ上、自殺者と20人の処分者を出した。麻生さんは内心、怒り狂ったが、それでも総裁選で安倍さんの3選を支えた。安倍さんはそんな麻生さんに頭が上がらず、真っ先に財務相続投を決めた。これまで選挙のために2度も増税を土壇場で見送り、麻生さんと財務省の顔を潰してきたが、来年10月の増税見送りはさすがに許されないだろう。森友疑惑の封印と引き換えに予定どおり実行するという暗黙の“密約”があるとされている」

 さらに安倍首相は昨年の衆院選で消費増税を財源に幼児教育の無償化などを公約として勝利しただけにやらざるを得ないというのだ。

 財務省キャリア官僚もこう話す。

「麻生さんが財務省のトップじゃなくなったら、増税できないというのは事実。過去に2度も菅(義偉)官房長官、今井(尚哉)首相秘書官ら官邸組にひっくり返されていますから。結局、株価や景気が落ち込むと支持率が下がるという考え方が自民党の主流。その中で、真っ向から、社会保障のため財政健全化をやらないと持たないと、安倍首相に対し突きつけられるのは麻生さんしかいない」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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とはいえ、安倍首相には前科が…