著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回はフォークシンガー・山本コウタローさんの「MOMINOKI HOUSE」の「ディナーBコース」だ。
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この店がオープンした1970年代半ば、フォーク歌手の仲間内で玄米ブームが起こりました。ここでイルカや南こうせつたちと一緒に玄米や豆腐ステーキを食べながら、わいわい大騒ぎした思い出があります。
シェフの山田英知郎さんはマクロビオティックに詳しい方。食の大切さを耳にするうちに、自分で実践したくなって。88年に西伊豆で畑を借りて自然農法で野菜を作るようになりました。当時は友人にマクロビオティックと言っても「エアロビのような新しい体操か?」と勘違いされるような時代でしたね(笑)。
僕はいろんな自然食レストランで玄米を食べ歩いていますが、この店のものがいちばん好み。モチッとして噛めば噛むほど独特の米のうまみが出てくるんです。豆腐ステーキや野菜も他では得られない、体が喜ぶようなおいしさがあって。僕は肉も食べますし完全な玄米菜食主義者ではありません。でもちょっと体調がよくないと行きたくなる。今でも体をリセットするために時々訪ねています。
(取材・文/今中るみこ)
「MOMINOKI HOUSE(モミノキハウス)」東京都渋谷区神宮前2−18−5/営業時間:11:00~14:30L.O. 17:00~21:00L.O.(日祝は20:00L.O.)/定休日:なし
※週刊朝日2018年10月26日号