中村倫也さん(撮影/馬場道浩、スタイリング/北澤momo寿志、ヘア&メイク/松田 陵、アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO)
中村倫也さん(撮影/馬場道浩、スタイリング/北澤momo寿志、ヘア&メイク/松田 陵、アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO)

 誰もが認める、今年のブレーク俳優の一人である中村倫也。見てのとおりのイケメンなのに、クセのある役がよく似合う。決して平坦ではなかったという、デビューから現在に至るまでの道のりとは?

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ドラマ「ホリデイラブ」「崖っぷちホテル!」、映画「孤狼の血」、そして朝ドラ「半分、青い。」などの話題作に今年立て続けに出演。現在はドラマ「ドロ刑‐警視庁捜査三課」に出演中、10月26日には映画「オズランド 笑顔の魔法おしえます。」も公開になる。見る者を惹きつける演技力と甘いマスクで人気急上昇、各メディアに引っ張りだこの状態だ。

「今は『特需』ですね(笑)。少し前まで『表紙撮影』って聞くと『え?』って聞き返してましたけど、最近やっとアタフタしなくなりました。いかんせん、箸にも棒にもひっかからない時期が長かったので」

 17歳でスカウトされて芸能界入りした。どんな高校生だった?

「えらく生意気でした。ヤンチャというより、哲学書とか読んでて、大人が嫌いで、言われたことを疑ってかかるような陰湿な感じの(笑)。扱いづらかったと思いますが、そこを面白がってくれる人もいました」

 スカウト後、約1年間養成所に通ってレッスンを受けるうちに演技の面白さに目覚め、俳優を一生の仕事として意識した。

「バリバリの末っ子気質なので、自分の心が動かないと行動できない。楽しいと思えたからこそ頑張れました」

 同時に、スターになりたい、有名になりたいという野心も?

「それもありました。半々じゃなくて、どっちも100%。野心はいつでもありますよ。野心ない男はダメでしょ」

 2005年、映画や朝ドラ「風のハルカ」への出演など華々しいデビューを飾ったが、スターへの道は簡単ではなかった。

「やるからには特別な存在になりたいと思ってたのに、そうなれない。今思うと自分が足りてなかっただけなんですけど、どんどん斜に構えて、そのまま年齢を重ねていった。20代半ばの頃、いつものように先輩と飲んでいたんです。需要がないからそこで自己主張するしかないという、掃きだめみたいな飲み会で(笑)。そこでグチグチ言っていたら、ある先輩に、『じゃあおまえ、何になりたいの? どうしたいの?』と聞かれた。そのとき即答できなかったんです。やりたいこと、キラキラしたものがあったはずなのに、それが言えなくなっていた。そんな自分がショックで、『これじゃダメだ!』と。そこから素直になって、いろんなことを認めて、受け入れて。錆びついた自分自身を硬いタワシでゴシゴシこするように、初心を取り戻していきました」

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