本題のお風呂が43度の場合を考えてみましょう。通常は、皮膚を覆う表皮細胞は43度の熱で死んでしまうとやけどになります。熱いお風呂が好きなみなさんをやけどから守ってくれているのは、皮膚の最も外側にあり、垢(あか)のもととなる角層です。この角層がガードして表皮細胞に43度で伝わるのを防御してくれています。しかし、垢が少ない状態では当然、表皮細胞に直接熱が伝わり細胞は死にます。

 さて、こうやってまとめてみると43度の熱いお湯というのはだいぶ危険ということがわかります。特に皮膚疾患をお持ちの方にとっては熱いお湯というのは、かゆみを誘発する危険性があります。ご注意ください。

 今回は、43度のお湯に皮膚が触れると体の中ではさまざまな反応が起きることを解説しました。熱いお風呂が好きなみなさん、無理を追求すると文字どおり「痛い目」にあいますよ。

◯大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医。がん薬物治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、作家として医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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大塚篤司

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大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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