「狭心症・心筋梗塞には、高血圧や糖尿病、喫煙など、さまざまなリスクがあります。それらを三つ四つ抱えている方は、定期的に心臓の状態を見たほうがいいでしょう」(中村医師)

 狭心症・心筋梗塞の治療法には「薬物療法」「経皮的冠動脈形成術(PCI)」「手術(冠動脈バイパス術)」があるが、日本ではほとんどPCIがおこなわれる。

 PCIは、カテーテルを手首やひじ、足の付け根の動脈から挿入し、冠動脈の患部まで進めていく。カテーテルの細いワイヤで患部を通過させた後、続けて送り込んだバルーンをふくらませて血管を拡張させる。治療後に起こり得る再狭窄を防ぐため、必要に応じてステントを留置する。

 PCI後は再発を防ぐためにアスピリンとクロピドグレルなどの抗血小板薬の併用療法を1~6カ月間おこない、その後はアスピリンだけを投与する。

 冠動脈の狭窄は時間をかけて進行していく。気になる症状や持病があれば早期に受診し、危険な事態に至るのを防ぎたい。(取材・文/鈴木健太)

■心筋梗塞の2つの予兆
□胸部の痛み ※左の肩や、歯、みぞおちなど、胸部周囲での痛みを伴うことも
□息切れ

週刊朝日  2018年10月19日号