「いちばんは、人に見られること。やはり誰かに見られているという意識があれば、しゃんとしなきゃと思いますよ。あと、僕は元々体を動かすことが好きなので、定期的にテニスで汗を流しています。ボールをひっぱたくと、胸がすーっとしていいですよ」

 定年退職後、町内会や近隣住民にうまく溶け込めずに困っている人も少なくない。こうした人たちについて、草刈は「素直に心を開くことが大切」とアドバイスし、こう話した。

「そういうのは、男性のほうが照れくさかったりして大変かもね。僕は日ごろからできるだけ笑うようにしています。すると、本当に楽しい気持ちになってくる。笑うのは健康にもいいしね」

 ラジオ体操の利点について、菊地は「気持ちが通じ合えるところ」と答えた。

「公園にはいろいろな事情を抱えた方が集まるが、音楽に合わせてみんなで同じ体操をすれば自然と連帯感が生まれる。ラジオ体操を通じ、そんな地域や家族の、人のつながりを描きたいと思ったんです」

 これを受け、草刈は自信たっぷりに言った。

「映画を見終わったら、必ずラジオ体操したくなると思います」(敬称略)

(澤田 憲)

※映画「体操しようよ」は11月9日から全国ロードショー。小説版(朝日文庫)は全国の書店、ASAで発売中

週刊朝日  2018年10月19日号